土曜日, たかし。

YOU ARE AN ...

序章
 たかしは、いつかの夜の事を思い出した。確か、それは鈴虫が歌いだすぐらいの季節だったように思う。たかしは、その夜たしかに見た。それは確かに、窓から見たまるで絵画のような夜空の波の隙間を、ぷかりぷかりと漂っていた。たかしは、届かないと心ではわかっていたが、それに向かって手を伸ばした。手を伸ばすとそれは呼びかけに応えるかのように幾らかの塊に分裂し、さらにそのうちの一つがたかしの方へ向かってきた。たかしは歓喜した。ついにそれと心を通わせることが出来る、俺は選ばれたのだと心を昂らせた。いよいよそれはたかしの指の先が触れようという所までふわふわとやってきた。だが、それがたかしに触手を伸ばすより先に、たかしは指を伸ばしてしまった。それは咄嗟に触手を体内に引き込み、か細い声で「オテアライカリラレマスカ」と発声した。たかしは涙をこらえながら、「階段を降りて左側です」とぼそぼそと喋った。そのやり取りを最後に、彼とそれの間に接触は二度と無かった。鈴虫は未だ歌を奏でている。

大問2.
物語の背景の季節と、”それ”の移動手段から、”それ”はどこからやってきたのかを考察し、50文字以内で述べよ(3点)

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